気管支喘息・咳喘息


気管支喘息は咳、呼吸困難、ぜーぜーするといった症状を示す疾患であり、気道の炎症と気流制限(軽いものから重いものまで)を特徴とします。息が吸いづらい、吸っても足りない感じ、夜間から早朝を中心に咳が出る、あるいは胸の痛みとなって現れることもあります。そのきっかけはスギ花粉の季節や季節の変わり目、温度差のある空気、低気圧の時期、あるいは運動と様々です。
乳幼児においてはクループによる声門狭窄やRSウイルス感染症などによる気管支炎でも同様の症状を示すし、高齢者にては心不全やCOPD(肺気腫など)でも同様の症状を示すあるいは合併していることもあります。  咳を主訴に受診されたら当院ではその咳の原因が呼吸器にあるのか循環器にあるのか、あるいは消化器にあるのか呼吸器系とすれば感染症なのか、喘息(あるいは咳喘息)なのかを診断していきます。そのために胸部レントゲン、呼吸機能検査、呼気NO検査(気道の好酸球性炎症を判定する)、採血検査(アレルギー、長引く咳の感染症の同定)、あるいは痰の検査などを組み合わせて行っていきます。ちなみに咳喘息は喘息の少し前の状態といわれており繰り返し起こる感染あるいはアレルギー、喫煙(受動喫煙含む)などにて気道が刺激され過敏な状態となって症状が出現してきます。咳喘息の30%は喘息に移行するといわれております。 大切なことは適切な診断と治療にあり、不適切な(不十分な)治療であったり、治療の中断により重い喘息発作にてお亡くなりになる方が90年代後半には6000人でありました。ガイドラインの普及や吸入ステロイドを中心とした治療の普及の効果もあってか少しずつ減少傾向にあり2011年で2000人を切るまで減ってきました。ただし依然として死亡される方がいる背景には病気に対する理解あるいは診断そのものが患者および医療提供側にて不十分なことも含め通院中断、治療中断あるいは不適切な治療などが挙げられます。 治療の基本にあるのは発作を起こさないこと、風邪などにかかっても比較的軽度の発作で済んだ、また発作が起きても適切な初期対処をすることです。その中心にあるのが気管支拡張薬と吸入ステロイドです。特に吸入ステロイド薬が最も大切でありこれの普及が重篤な発作や死亡例を減少させる明確な根拠も示されています。また必要に応じて抗アレルギー薬もあります。症状がでたときだけ気管支拡張薬で治療するといった考えは古い考え方でありかえって喘息発作を長期化重症化させます。発作を起こさない安定した経過を送っていただくための日々の治療が重要です。 発作時にはβ刺激薬の吸入やステロイドの点滴、あるいは内服治療、拡張剤の内服など気管支を拡げる治療とともに炎症をとる治療も大切です。また発作の程度によってはネブライザーという院内にて使用する霧状にした薬剤を吸入する機械を自宅にお貸しして自宅でも追加治療をしております。これはかなりの効果を期待できる治療です。 また発作を起こした時の自宅にての治療法のご理解やどのような状況で救急センターに受診するかまできめ細かいアドバイスも心がけております。また喉や鼻のかぜなどをきっかけに普段はあまり喘息の症状のない方でも喘息発作を併発することもあります。また予防的治療をしていない場合に重篤な喘息発作になってしまうこともあり注意が必要です。小児から成人に至るまでこの疾患は幅広い年齢層を持つ疾患で、日々の予防と発作時の正しい治療をご提供させていただきます。お気軽にご相談ください。

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