貧血


血液中のヘモグロビン(血色素)(Hb)量が減少することを言います。WHOにおいては成人男性ではHb値は13g/dl以下、思春期から成人女性では12g/dl以下、小児や妊婦では11g/dl以下をいいます。
女性は月経や妊娠、出産などの女性特有の生理機能のため男性に比べて血液がより多く必要であり貧血も多く見られます。20代の女性の20%程度に認めるといわれます。また日本では貧血のうち70%程度が鉄欠乏性貧血、20%が続発性貧血といわれます。


ヘモグロビンとは?
血色素量というとおり血液の赤い色の成分です。ヘモグロビンは肺で酸素と結合し、血流にのって全身の細胞へ酸素を運びます。ヘモグロビンが少なくなると酸素がいきわたらなくなりそのための症状がおこります。
健康診断などで貧血を指摘されたあるいは貧血かもしれないといった症状があった場合にはまずは採血検査にて貧血があるか、ある場合には貧血の鑑別を行っていきます。


貧血でもっとも多い鉄欠乏性貧血について以下のべます。
まずは鉄の体内での動きについて説明します。

鉄は体内に3~4gあり、そのうちの1gは貯蔵され(多くはフェリチン)、のこりは赤血球や骨髄中にヘモグロビンや赤芽球として存在します。鉄分が欠乏するとこのフェリチンが減少し骨髄への鉄の供給が減るため最終的にはヘモグロビンが減少していきます。
一日に食事から摂取する鉄の量は10~15mgですがこのうちの10%程度しか腸管を介して吸収されません。ただし喪失する量も同じ程度なのでバランスが取れています。ただし赤血球を作るためにはその20から30倍の鉄分が必要です。これは体内で壊れた古い赤血球からの再利用でまかなわれます。
鉄欠乏性貧血は女性の12~13%、男性の0.5%程度に認められ、その80%は鉄分の過剰な喪失によるといわれます。子宮筋腫や消化器系の癌、痔の検索なども重要となります。

鉄分の吸収低下: 胃切除術後など
   需要増大: 成長期女性、妊娠、授乳中
   排泄増大: 月経過多、子宮筋腫、消化管潰瘍など


【貧血症状】

全身倦怠感、めまい、疲労感、頭痛、顔面蒼白、動悸、息切れ、心雑音 など

【鉄欠乏による症状】

舌炎、口角炎、嚥下障害 など

治療としては原因疾患があればそれの治療ですが、それ以外には食事指導や鉄分の補給となります。鉄分の補給で1~2週間で網赤血球が増加し始めしだいにヘモグロビンが上昇してきます。ただし1か月程度の内服で治療を終了してしまうと、先にのべた貯蔵鉄が十分補充されないため再発することが多く、通常3~4か月程度の内服を要します。鉄剤の内服による副作用は主に消化器症状です。

鉄欠乏性貧血の場合にはその原因検索が重要であり、女性の場合一度は女性診療科にも受診していただくこともお勧めしております。
まずはお気軽にご相談ください。




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