高脂血症



血液中には脂質が溶け込んでいます。これが異常に高い状態を高脂血症といいます。高脂血症といっても症状があるわけではありません。健康診断などでコレステロールが高いです、といわれて初めてわかります。症状がないため放置してしまうケースがとても多いのですが放置していると動脈硬化が進展し、さらにそれによる虚血性脳および心疾患や動脈硬化性疾患などの合併症を起こしてしまう怖い病気なのです。日本では高脂血症の患者さんが2200万人程度いるといわれます。特に男性の30代から、女性では50歳代から2人に1人はこの疾患であるといわれています。

種類は3タイプ
1.高コレステロール血症(LDL、悪玉)
2.高中性脂肪血症
3.上記のいずれも多い



LDLコレステロールは別名悪玉コレステロールといわれこれが多いと動脈壁に付着して動脈硬化を引き起こします。また血管の内腔を狭めてしまいますので先に述べた重大な合併症につながります。とくに粥状硬化に深く関与しておりLDLと高血圧と喫煙の3つは動脈の内膜を傷つけさらに血管内腔にLDLが蓄積されていきます。このLDLをマクロファージ(白血球の一種)が取り込んで動脈硬化が進展していきます。
中性脂肪はこれのみでは動脈硬化には関与しませんが、中性脂肪が多いとLDLコレステロールが増えて、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を減らしてしまうためこれも動脈硬化にかかわっていきます。
逆にHDLコレステロールは血管内や細胞内にある余計なコレステロールを取り込んで肝臓に送り込む役割があります。このためこれが減るとLDLコレステロールが増えてしまい動脈硬化が進展しますし、HDLが増えることで動脈硬化を防ぐと考えられます。



喫煙と高脂血症の関係
ニコチンは交感神経を刺激します。これにより心拍数は上がり、血圧は上がり心臓への負担が増します。また中性脂肪の原料である遊離脂肪酸を増加させる作用も持ち合わせます。さらに喫煙によりLDLコレステロールが酸化されて粥状硬化が進展すること、HDLコレステロールが低くなることも分かっています。

治療は?
食事療法、運動療法、禁煙が大切です。食事療法はいくつかの段階あるいは高脂血症の種類によっても変わってきますがまず大切なのは総摂取エネルギー、栄養配分およびコレステロール摂取量の適正化です。適正エネルギーは標準体重×30kcalといわれますがこれを守るだけでもかなりの改善が見込めます。また適正体重の維持も大切であり体格指数(BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗)が25以上で肥満となります。22程度であれば適正な体格といえます。とくに内蔵型肥満が多い場合にはBMIがさほど高くなくても危険であるといわれておりこのため腹囲を測定して改善につなげるという流れになっています。さらには運動療法も大切です。週3回以上、1回30から60分間のやや早歩きがお勧めです。

薬物療法を始めるとき
食事療法、運動療法を行っても改善を認めない場合には内服薬による治療を開始します。ただしできるだけ生活習慣の改善は継続することが大切です。無症状な疾患であることから内服薬をためらう方もいらっしゃいますが放置することにより危険な疾患への進展が分かっているわけですから治療は大切です。高脂血症とはこれら食事、運動、内服治療を行いながら同時に高血圧や糖尿病にならないよう適正な管理が大切です。

心配な方はお気軽にご相談ください。




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