高尿酸血症



尿酸とは?
体内の細胞内にある遺伝子の成分である核酸の分解物であり、またエネルギーの素となる物質の代謝産物でもあります。また尿酸の原料は肉類を代表とする食物にも多く含まれるためこれらを食べることでも体内で尿酸が増えていきます。 尿酸は毎日体内で作られ、そのうちの一定量は腎臓より排泄されています。何らかの異常で尿酸が過剰に産生されたり(たとえば核酸を多く含む栄養価の高い食事を摂りすぎた、飲酒やストレスなど)、あるいは腎臓での排泄がうまくいかなくなると尿酸が体内で溜まっていきます。この状態を高尿酸血症といい血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。

痛風とは?
尿酸が高い状態が続くと尿酸はナトリウムと結晶を作りこの結晶が関節に析出してくると関節炎をきたします。また皮膚や骨に結節を作り、尿路結石や、さらに進行すると腎炎を引き起こします。これらの症候群を痛風といいますが一般的には激痛のある関節炎症状で受診する方が多いです。

高尿酸血症が危ない理由
高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満と合併し、動脈硬化の原因となります。当然、心臓や脳血管障害をきたしますので治療が必要です。また痛風発作をきたすことも当然治療の理由となりますが、高尿酸血症が持続することで腎障害が進行すると透析に移行することもありこれも予後を左右する疾患です。

治療は
血清尿酸値が7.0mg/dLを超えたら生活習慣の改善に努めましょう。ちなみに痛風発作は尿酸値が高ければ高いほど起こりやすい(9.0mg/dLを超えると90%が1年以内に発作を起こします)といわれます。また過度の運動や大量飲酒なども発作を引き起こす原因となります。生活習慣の改善は
(1)適正な体重コントロールと
(2)プリン体の多く含まれる食品の制限、
(3)飲酒の制限、飲水の励行

です。

(1)は体格指数(BMI:body mass index)において25以上を肥満といいますのでこれ以下になるように努めましょう。また内臓脂肪型肥満においてはウエスト径が男性で85cm、女性で90cmを超えている場合には要注意です。

(2)は肉汁、レバー、いくら、すじこ、えび、イカやオイルサーディーンなどは毎日は食べないようにしましょう。また肉や魚は適量であればいいと思われます。

(3)アルコールは尿酸産生を促進し排泄を抑制するため、適量としましょう。一日で日本酒で1合、ビールで大瓶1本、ワインでボトルの1/3、焼酎で2/3合、ウイスキーでシングル2杯程度が目安です。毎日は飲まないようにし、飲水を励行しましょう。

さらに運動療法にても尿酸値が下がらない場合には内服治療となります。


高尿酸血症の治療
(1)尿酸値が7.0から8.0mg/dLの場合
痛風発作や痛風結節がない場合:生活指導
痛風発作や痛風結節がある場合:薬物治療


(2)尿酸値が8.0mg/dL以上の場合
痛風発作や痛風結節がなく合併症※がなければ生活指導のみ
合併症あれば薬物治療
(※合併症:腎障害、尿路結石、高血圧、高脂血症、糖尿病、虚血性心疾患などをいいます)


(3)尿酸値が9.0mg/dL以上の場合
薬物治療となります
薬物治療には尿酸の生成を抑制する薬や排泄を促進する薬があります。また尿路結石を予防する薬なども必要に応じて使用します。



痛風発作時の治療
発作は一側性の関節痛症状で出現することが多く足の親指の付け根の関節(第一中足指関節という)に好発します。これ以外にもアキレス腱や足の甲やくるぶし、膝関節にも起こります。夜間寝ているときにおこることが多く、アルコール、薬剤、食事などで誘発されます。圧倒的に男性に多い病気です。
発作のひどい時期には尿酸を下げる薬ではなく消炎鎮痛剤を内服して痛みを抑え、炎症を抑えます。その後ゆっくりと尿酸値を下げる治療に移行していきます。発作の前兆期がわかるようになってくればこの時期にも発作を予防する薬があります。

発作がおさまっても先に述べたように高尿酸血症については引き続き治療が必要となります。
また高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などと合わせての治療も大切ですので、気軽にご相談ください。




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